黄鎮廷(ウォンチュンティン)選手は、中国からの帰化選手が多い香港で本国出身の卓球プレーヤーです。現代の卓球選手の中では珍しく中国式ペンのラケットを用いており過去には香港選手の中でも歴代最高となる世界ランキング6位となっています。
そんな黄鎮廷選手とはどんな人物か、他にもプロフィールや世界ランキング、使用用具、プレーの特徴などを紹介していきます。
黄鎮廷(ウォンチュンティン)とは
黄鎮廷とは、香港のエースで現代の卓球界では珍しい中国式ペンのラケットを使用した選手です。読み方は「ウォンチュンティン」、英語だと「Wong Chun Ting」と表記されます。
- 香港のエース!歴史を変えた香港出身の努力家プレーヤー
- 日本と馴染み深い選手!TT彩たまからTリーグへ参戦!
- 今や絶滅危惧種!?中国式ペンを使った両ハンドドライブか持ち味
香港のエース!歴史を変えた香港出身の努力家プレーヤー
そうです、黄鎮廷選手は、香港のエースを担う選手で現在世界のトップで活躍しています。かつては、水谷隼選手や吉村真晴選手、大島祐哉選手など軒並み破った事から日本人キラーとも言われていました。
更に一言付け加えると、黄鎮廷選手は、香港出身の選手ですが、黄鎮廷選手が代表になるまでは香港代表は皆中国からの帰化選手であり香港出身の選手達は中々活躍できていませんでした。
現在の香港のチームは香港出身の卓球選手が中心となっていますが、その礎を築いたのは正に黄鎮廷選手であると言えます。世界ランキングもかつての中国帰化選手達を上回る6位になった事もあり香港の歴代では最も強い選手と言えるでしょう。
日本と馴染み深い選手!TT彩たまからTリーグへ参戦!
実は、黄鎮廷選手は日本にとってとても馴染み深い選手でもあります。2018年に開幕したTリーグに参戦しており、1st、2ndシーズンはTT彩たまでエースとして活躍していました。
ファンサービスも良い選手で度々、ファンとの交流会も実施して密接に接していたようです。そのためか、日本人からの人気も高い選手で海外選手ではありますが国際大会での活躍を期待されています。
4thシーズンからは、所属チームを換え琉球アスティーダでプレーする予定です。新天地になり黄鎮廷選手のプレーがどのように変わっていくか実物です。
今や絶滅危惧種!?中国式ペンを使った両ハンドドライブか持ち味
びっくりする事に黄鎮廷選手の戦型は今や絶滅危惧種と言われているような戦型です。黄鎮廷選手のラケットは中国式ペンと言われるペンのラケットで現在ペンのラケットで戦う選手は全体の1割以下です。
現代の卓球界では、ペンではなくシェークのラケットの方が技術の幅が広く弱点が少ないためシェークのラケット使用を推奨されていますが、その中で黄鎮廷選手はペンのラケットを使用しており異例な選手です。
黄鎮廷選手がペンのラケットを使用しているのは、一番最初の指導者がペンを使用していたからと些細な理由ですが、今黄鎮廷選手が活躍している要因はペンのラケットだからこそです。
ペンのラケットはバックハンドが弱点になりやすいですが、その分台上プレー等がやり易く黄鎮廷選手もその部分で強みを持っています。また、弱点となるバックハンドの部分は裏面にラバーを貼る事で対応しています。
今後もこの異質となるペンのラケットでの活躍から目が離せません。
黄鎮廷(ウォンチュンティン) プロフィール
プロフィール
戦型 | 右ペン裏裏ドライブ型 |
年齢 | 29歳 |
生年月日 | 1991年9月7日 |
エピソード
- 意外にも卓球のスタートは遅め!日本式ペンの指導者の元卓球をスタート!
- 日本人キラーとしてブレイク!リオ五輪では、日本選手に痛い敗戦を喫す
- TT彩たまの一員としてTリーグ参戦!東京五輪へ向け力を磨く!
意外にも卓球のスタートは遅め!日本式ペンの指導者の元卓球をスタート!
黄鎮廷選手は、香港出身の卓球選手です。卓球を始めたのはトップ選手としては、意外にも遅く9歳から始めています。
「先生に教えてもらった時に、その人が日本式のペン(編集部注:フォア面のみにラバーを貼るペンハンド。古くから日本では愛用するプレーヤーが多い)だったんです。なので最初から両面にラバーを貼っていたわけでなかったです」。練習とはいえ、当時は小学生の「エンジョイピンポン」程度でプロになるつもりは毛頭なかった。
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最初は、楽しみながら卓球をしていたものの努力家で勝つ喜びを知った黄鎮廷選手は、更に練習の虫となり力をつけていきます。そんな黄鎮廷選手は、香港ジュニアの育成機関からオファーを受け香港のトップで力を磨いていきます。
日本人キラーとしてブレイク!リオ五輪では、日本選手に痛い敗戦を喫す
黄鎮廷選手は、香港のトップで力を磨いていましたが、始めたのが遅かった分中々成果は出ませんでした。しかし、香港選手権で当時の代表である高禮澤選手と試合し好戦した事でナショナルチーム入りを果たします。
当時の香港代表は中国からの帰化選手が殆どで、香港出身の黄鎮廷選手には期待がかかってのナショナルチーム選出でした。そこから国際大会へも出場するようになり力を磨きます。
そして、国際大会で活躍を続ける内に黄鎮廷選手には、「日本人キラー」という異名が付きます。当時の国際大会で、水谷隼選手、吉村真晴選手、大島祐哉選手など実力者を軒並み破っていたためです。
そんな良い状態の中、黄鎮廷選手はリオ五輪を迎える事になります。ですが、黄鎮廷選手にとってリオ五輪は苦いものとなります。
シングルスでは、シードを獲得していましたが丹羽孝希選手に敗戦したためベスト8入りを逃します。更に団体戦では、準々決勝で相性の良い日本と対戦し、メダルが期待されましたが、水谷隼選手、吉村真晴選手の双方に敗戦し敗れる事になってしまいました。
かつて日本人キラーと言われていた黄鎮廷選手でしたが、リオ五輪では全て日本人によって進出を阻まれてしまったのです。
TT彩たまの一員としてTリーグ参戦!東京五輪へ向け力を磨く!
リオ五輪を苦い形で終えてしまった黄鎮廷選手でしたが、その後も虎視眈々と上位を狙い努力し続けていました。そして、2018年には世界ランキングも自己最高位となる6位になり歴代の香港選手の中で最も上位になりました。
また、日本でTリーグが開幕した事もあり、黄鎮廷選手はTT彩たまに所属しリーグ参戦します。TT彩たまでは、エースとして活躍し実力を更につけていきました。
その後は、世界ランキングも少し下げますが、日本のエース張本智和選手に勝利するなど実力は未だ健在です。4thシーズンでは、チームを移籍し琉球アスティーダでのプレーが決まっておりまた日本でプレーを観ることができるでしょう。
更に、東京五輪の代表権も獲得しているので、本戦では、悲願のメダルを目指し奮闘する筈です。今後の動向から益々目が離せない選手です。
世界ランキング及び成績
世界ランキング
世界ランキング20位(6月19日時点)
成績
2014年 | グランドファイナル | ダブルス3位(唐鵬ペア) |
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 混合ダブルス3位(杜凱琹ペア) |
2016年 | 世界選手権クアラルンプール大会 | 団体ベスト8 |
ワールドカップ | シングルス3位 | |
2017年 | 世界選手権デュッセルドルフ大会 | シングルスベスト8 混合ダブルス3位(杜凱琹ペア) |
グランドファイナル | ダブルス準優勝(何鈞傑ペア) | |
2018年 | グランドファイナル | ダブルス準優勝(何鈞傑ペア) 混合ダブルス優勝(杜凱琹ペア) |
使用用具
ラケット:バタフライ特注
商品情報はありません。
ラバー(表面・裏面):テナジー05ハード
黄鎮廷(ウォンチュンティン) プレーの特徴
黄鎮廷選手は、中国式ペンのラケットを生かした台上プレーと両ハンドドライブが持ち味です。その黄鎮廷選手の卓球の中でも特に光ったプレーを紹介していきます。
- 最大の特徴!フットワークを生かしたフォアドライブ!
- テンポが早く的確なコースを突くバックドライブ!
- 実は、ここがすごい!中国式ペンならではの台上プレー
最大の特徴!フットワークを生かしたフォアドライブ!
そうです、黄鎮廷選手の最大の特徴とも言えるのがフォアドライブで得点力が非常に高いです。黄鎮廷選手のフォアドライブは速くて一撃で決まるというわけではありませんが、その分ミスも少なく連続で攻める事ができます。
連続で攻める事ができる理由として黄鎮廷選手のフォアドライブは下半身を大きく使ったフォアドライブではなく下半身は移動に使って上半身を使ったドライブなので戻りも速く連打する事ができます。
また、下半身を移動に割り当てている分追いつく事ができる球が多く粘りにも長けています。黄鎮廷選手のように下半身を使い過ぎないフォアドライブは現代の主流でもあるので参考にしてみましょう。
テンポが早く的確なコースを突くバックドライブ!
黄鎮廷選手のバックドライブは、非常にテンポが早いのが特徴で、更にコースを突くのも上手いです。バックドライブで得点するというよりはチャンスメイクするために使用しています。
元々、ペンのラケットだとバックハンドは難しいのですが、黄鎮廷選手の場合裏面にラバーを貼っており、テンポの早いラリーにも対応する事ができます。
また、ペンならではの球質でシェークのラケットに比べると黄鎮廷選手のバックハンドは若干癖球も混ざるためその部分を生かして得点に繋げています。
実は、ここがすごい!中国式ペンならではの台上プレー
黄鎮廷選手のプレーで実はすごいと言えるのが、台上プレーです。ペンは台上技術がやり易く黄鎮廷選手は台上プレーて先手を取る事に長けています。
ペンのラケットの特徴としてミドルの球の処理がし易く、更にラケットの角度調節がし易いためストップやツッツキが非常に安定かつ鋭いです。
また、フリックもやり易く現代のシェークの選手が中々できない技術も織り交ぜる事ができます。更にこれは中国式ペンでも黄鎮廷選手だけのプレーですが、台から2バウンドせず少し長くなった球を台の上でドライブできるのも特徴的です。
ペンは弱点が多いとも言われますが、黄鎮廷選手はペンの特性を生かしたプレーも多くあるのでその部分が見所です。
まとめ:黄鎮廷(ウォンチュンティン)
いかがでしたでしょうか。黄鎮廷選手について紹介してきました。黄鎮廷とはこんな人物です。
- 香港のエース!歴史を変えた香港出身の努力家プレーヤー
- 日本と馴染み深い選手!TT彩たまからTリーグへ参戦!
- 今や絶滅危惧種!?中国式ペンを使った両ハンドドライブか持ち味
また、黄鎮廷選手のプレーの特徴はこちらです。
- 最大の特徴!フットワークを生かしたフォアドライブ!
- テンポが早く的確なコースを突くバックドライブ!
- 実は、ここがすごい!中国式ペンならではの台上プレー
最後に一言だけ付け加えると、黄鎮廷選手は、現在は世界ランキングを20位前後まで落としていますが国際大会ではいまだに強敵を破ったり活躍は目まぐるしいです。今後はまたトップ10にも再び入る可能性がある選手なので注目です。