個人事業主として働きながら収入が増えてきたら税金対策として法人化するのが一般的です。ですが、どのタイミングで法人化すれば良いかあなたはご存知ですか。
このページでは、個人事業主が法人化するメリットに加えて適切なタイミング、そして手続き方法を分かりやすく紹介していきます。
Contents
知らないと損!個人事業主が法人化するメリットとは?
早速、あなたが気になる事を解説していきましょう。ここでは、個人事業主が法人化するメリットについて紹介していきます。知らないと損する可能性が高いのでチェックしておきましょう。
- 一定以上の売上が出ている場合、節税対策になる!
- 印象に大きく影響!社会的信用度が高まる!
一定以上の売上が出ている場合、節税対策になる!
基本的には年間700万円以上の利益が出ている場合は法人化した方が税金が安くなります。
大きく影響するのが所得税で、個人事業主の場合年間約700万円を超えると所得税が23%かかります。更に利益が増えると利益に比例して税率は増えていきます。利益によっては40%を超える事もあります。
法人化すると所得税の代わりに法人税を支払う事になります。法人税は800万円以下であればなんと、税率は15%です。また、最大でも23.20%とかかる税金を抑える事ができます。
更に、法人化すると自身の給料は役員報酬として経費扱いにできるため、節税にも繋がるのです。支払う税金の金額を減らせるのが法人化最大の魅力と言えるでしょう。
印象に大きく影響!社会的信用度が高まる!
法人化のメリットとして大きいのは税金対策ですが、他にも社会的信用が高まるという事があります。
個人事業主として事業を展開していると、社会的信用度が弱くBtoBのビジネスをする時や、融資を申請する時にやや不利となる事があります。
法人化すると社会的信用度が高まるのでこれまでよりも更にビジネスパートナーを開拓しやすくなったり、融資を得やすくなるでしょう。法人化は事業を拡大するには欠かせない要素となります。
タイミングが大事!個人事業主が法人化する際に気をつけること
法人化すると様々なメリットがあると分かりましたね。ですが、すぐにでも法人化したい思ったあなた、少し待った方が良いかもしれません。法人化はタイミングを間違えると損をする事もあります。
ここからは、法人化する上で気をつけるべきことを紹介していきます。
タイミングを間違えると赤字に!?実は法人化には思ったより費用がかかる
法人化はタイミングを間違えると赤字になってしまいます。法人化すると個人事業主の時にはかからなかったお金が掛かるようになってきます。負担しなければならないお金はこちらです。初期費用で25万円程度、毎年数十万円の支払いが必要になります。
- 法人化の手続き料
- 顧問税理士への依頼料
- 法人住民税の均等割
- 社会保険料の契約料
法人化の手続き料
現在は、1円の資本金からでも起業する事ができ、誰でも法人化しやすいようになりました。ですが、1円で起業すると言っても法人化するためには様々な手続きが必要でありお金もかかります。
法人化する際には、自身で手続きをしたとしても25万円程度のお金がかかります。もし依頼するとなると更に数万円〜十数万円程掛かります。
手続き内容については後述しますが、面倒なものもあるので依頼する方も多くいます。
顧問税理士への依頼料
法人化すると決算時に決算書を作成しなければならず、決算書を作成する為には税理士へ依頼しなければなりません。
顧問税理士として雇うには、最低でも月額で3万円程度かかります。更に、決算月で決算書を作成する際には追加費用として10万円〜20万円程かかります。年間だと安くても50万円程かかるでしょう。
法人住民税の均等割
法人化すると例え赤字であったとしても法人住民税の均等割で税金を支払わなければなりません。
資本金1,000万円以下で従業員数が50人以下の小規模法人であれば年間7万円の負担です。赤字で利益が無かったとしても負担しなければならないです。
社会保険料の契約料
実は法人化すると社会保険への加入が義務づけられます。加入しないと罰則を受ける事になります。
社会保険は、従業員がいた場合一人一人に加入させなければなりません。その時にかかる社会保険料は会社と従業員の折半となります。
社会保険料は従業員の報酬によって計算されます。従業員が多いほど社会保険料の負担は大きくなっていきます。仮に一人でも社会保険への加入は強制で毎月数万円の支払いが必要となります。
気をつけよう!会社のお金は自由に使えなくなる!
実は、法人化すると会社のお金を自由に使う事はできなくなります。
個人事業主であれば、出した収益は自身の銀行に振り込まれそのお金を自由に使う事ができます。ですが、法人の場合は収益は会社の口座に振り込まれそのお金を自由に使う事はできません。
勝手に会社の口座から引き出してしまうと税務上トラブルになります。会社の口座から引き出す場合は借りる状態になります。自身で作った法人でも制限がかかるのが法人化のネックとなる部分です。
個人事業主が法人化するための手続きはこちら – かかる費用も紹介
ここからは、個人事業主のあなたが法人化するために必要な手続きを紹介しましょう。法人化のための手続きはやる事が多く大変です。かかる費用も紹介していきますので是非ご覧下さい。
- 設立する会社の基本事項を決めよう!
- 基本事項を書類に!定款の作成!【4万円】
- 公証人に定款の認証を頼もう【5万2千円】
- 法務局へ登記申請【最低15万円】
- 登記事項証明書、印鑑証明書の作成【約2千円】
設立する会社の基本事項を決めよう!
法人化したいとなったらまず会社の基本事項を決めましょう。法人化に必要となる事項はこちらです。
- 法人名
- 事業内容
- 役員
- 本社所在地
- 資本金
基本事項を書類に!定款の作成!【4万円】
続いて定款を作成します。定款とは、上記で紹介したような基本事項を文書としてまとめたものです。定款の記載内容は、「絶対的記載」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」に分かれます。
定款の作成時には印紙を貼り付けなければなりません。印紙は4万円かかります。専門業者に依頼すると電子定款という形で作成されるため印紙代は必要ありません。
絶対的記載
定款には絶対記載しなければならない記載があり、その記載を絶対的記載と言います。絶対的記載として記載する内容は下記の通りです。
- 事業の目的
- 商号(法人名)
- 本社所在地
- 資本金額
- 発起人の氏名及び住所
相対的記載事項
絶対記載する必要は無いものの記載が無いと効力を発揮しない記載を相対的記載事項と言います。
株式発行の旨についてなどは相対的記載事項にあたります。つまり、株式発行は定款に記載しなければ効力を発揮しません。
任意的記載事項
絶対的記載事項や相対的記載事項以外の記載を任意的記載事項と言います。任意的記載事項は定款に記載しなくても別の文書に記載すれば効力を発揮します。任意的記載事項に主に記載する内容はこちらです。
- 株主総会の開催規定
- 役員報酬に関する事項
- 配当金に関する事項
公証人に定款の認証を頼もう【5万2千円】
作成した定款を公証人に認証してもらう必要があります。認証の際には、定款3通と発起人の印鑑証明書を用意しなければなりません。
公証人に認証してもらうには認証手数料5万円、謄本交付手数料約2千円程かかります。設立するのが合同会社の場合は公証人の定款認証は必要ありませんので手数料の負担もありません。
法務局へ登記申請【最低15万円】
定款の認証が進んだら法務局へ登記申請しにいきます。登記する際には登録免許税として最低でも15万円程かかります。
この際の費用は、資本金の0.7%の割合で算出されます。算出された金額が15万円より低い場合は15万円の支払いとなります。法務局で登記申請をしてもらった日が会社設立日となります。
登記事項証明書、印鑑証明書の作成【約2千円】
登記申請が済んだら、登記事項証明書や印鑑証明書を取得ができるようになります。登記事項証明書は登記申請から1週間程審査があり審査終了後に取得が可能になります。
印鑑証明書は、印鑑カードが必要になります。印鑑カードは所轄の法務局に申請すれば受け取る事ができます。印鑑カードを受け取る事ができればその後はどの法務局でも印鑑証明書を取得することができます。
個人事業主が法人化すると税金はどうなる?消費税、法人税について紹介
ここからは、個人事業主が法人化すると税金がどうなるか紹介していきます。あなたが気になる消費税や法人税についても紹介していきますので是非ご覧ください。
- 年間の所得が700万円を超えたら法人化がおすすめ!支払う税金が安くなる!
- 法人化したら消費税は2年間免除!?
年間の所得が700万円を超えたら法人化がおすすめ!支払う税金が安くなる!
上記でも触れましたが、年間の所得が約700万円を超えると法人化した方が支払う税金は安くなります。
個人事業主の間は所得税を支払います。所得税は、所得の金額に比例して税率も上がっていきます。所得の金額と税率の関係は下記の表をご覧ください。
所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円〜330万円 | 10% |
330万円〜695万円 | 20% |
695万円〜900万円 | 23% |
900万円〜1800万円 | 33% |
1800万円以上 | 40% |
一方で法人化すると所得税の代わりに法人税を支払う事になります。法人税の場合は、800万円以下は15%、最大でも23.20%と個人事業主の所得税に比べるとかなりお得です。
個人事業主で所得が増えると半分程は税金として支払う事になってしまうので所得が増えた段階で法人化するのが最も良いタイミングと言えるでしょう。
法人化したら消費税は2年間免除!?
実は、法人化したら消費税の支払いは2年間免除となります。一方の個人事業主の場合も開業してから2年間は消費税の支払いが2年免除されます。
つまり、個人事業主を経て法人化した場合は最大で4年間消費税が免除されるのです。但し、法人の場合は開業直後の6ヶ月間の売上と給与額がいずれも1,000万円を超えた場合は消費税が免除とならず課税される場合もあります。
まとめ:個人事業主が法人化するメリット
いかがでしたでしょうか。個人事業主が法人化するメリットについて消化してきました。個人事業主が法人化するメリットはこちらです。
- 一定以上の売上が出ている場合、節税対策になる!
- 印象に大きく影響!社会的信用度が高まる!
最後に一言だけ付け加えると、個人事業主が法人化すると税金対策となったり社会的信用度が上がったりなど利点も多いですが、一方でその他に負担しなければならない費用も沢山あります。
カッコだけで法人化してしまうと自身の首を締めることにも繋がり兼ねません。ですが、事業拡大には欠かせないもので適切に行えばあなたの未来を明るくするはずです。覚悟が決まったら法人化して前進していきましょう。